~続き~
前編はこちら↓
「歴史とファッションの狭間で悶々 其之壱(前編)」
Loro Pianaの高級生地を使った三つ揃えのスーツスタイルで臨んだ、新進気鋭のサラリーマンA。
彼はあまたの困難を乗り越え、とうとう最後の牙城、熊本城の本丸までやってきたのです。
シングル仕上げのスーツパンツの裾を膝までまくりあげ、足元はAldenではあったが、登りきるような靴では無い事は本人も重々承知。
Aldenは早々に脱いで、Corgiの靴下だけで登ろうとするA。
「Corgiの靴下もお値段は少々するけど、Aldenの靴が汚れるのは勘弁だよね!」
Aは意気込みます。
「このスーツ、イタリア製のゼニアの生地かピアツェンツァかで迷ったけど、世界的な有名生地メーカーだとLoro Pianaなんだよね!」
Aは続けます。
「シャツは英国調が今の気分だから、ターンブル&アッサーで誂えたシンプルなターンブルカットの襟にDRAKESのペイズリー柄のタイなんか巻いちゃって、僕って本当におしゃれ。極め付けにはいつかETROでタイドアップなんて洒落男〜って、、今はこの熊本城を攻略しないといけないからそんな余裕なんて、ない!」
彼はいきおいよく、石垣に突撃し最初は緩やかな傾斜を登ります。
そう。お調子よく。
「はっはっは!こんな高級ブランド達をオシャレに着こなす最強のサラリーマンには、この傾斜は余裕なのであーる!」
彼はまだ気づいていなかったのです。
この緩やかなカーブが一気に急勾配に差し掛かるとは。
「あれ、最初は順調に登れたのに一気にきつい。なんだこの傾斜は。そう簡単に登らせてくれないのか、この石垣は!」
彼はこの石垣を少しナメていたようです。
そうこうしているうちに、彼の高級なLoro piana製のパンツは股から裂け、Corgiの靴下は無残にも指先から全体に穴が開き、しまいにはAldenのレザーシューズは城下にいた他の武士達に盗まれて、
彼のターンブル&アッサーのシャツは脇の部分から裂けて、ネックの寸法を間違ったのか力を入れたらボタンが上から3つ、4つと宙へと飛んでいき、20年ほど前に一世風靡したイタリア親父達のように胸元がはだけ、あられもない姿となって地面に落下していくのでした。
彼は地面スレスレまで落ちていく中で、ふと感じたようです。
「こんな大変な石垣を登るのに、全身ブランドものを着て満足して、いっぱしに仕事ができるように感じていた自分は、なんて愚か者なのだ。これでは清正公の思うツボではないか。」
Aは社会で生きていく上で大切な何かを掴もうとしていたのです。
「グチャ。。」
その一部始終をみていた大天守閣から顔を覗かす清正公。
「ちょいちょい!そこの若き武士よー!てっぺんから足先まで、なんちゅう不相応な格好で戦場に来とるんだで。戦場はええ格好や、みてくれではないぞ。相応な格好と心意気で臨むものじゃ。そんな無様な格好では儂の武者返しを登るには、百年早いわ!」
Aは潰れながら、THE 虎舞竜のように言いました。
「今ハッキリと思います。。」
清正公は続けます。
「武者とは、辛子レンコンのようにピリっと辛く、阿蘇の赤牛のように悠々と野を歩み、馬肉のように赤く血を滾らせて、だご汁のように暖かく人を迎い入れる心を持つのじゃ!そして太平燕(タイピーエン)のチャンポン風味の春雨の、あのきらびやかで繊細な麺のように、女子には優しい心を持つことが、和を以て尊しと成すのじゃ!その心がいつか城を制すであろう。」
そう。人生色々。
サラリーマンAは心地良い痛みを感じながら、城を後にして、清正公の言いつけ通りに「上通り」と「下通り」のイチオシグルメに奔走。
そして高級過ぎるスーツに過信する事なく、質実剛健で定評のあるURBAN RESEARCH DOORSのプライベートレーベル、「LIFE STYLE TAILOR」のスーツが似合う男へ。
中身を知った男、Aはその後の人生を謳歌しましたとさ。
チャンチャン。
次はどの街の歴史とファッションの狭間で悶々としましょうか。
また会える日まで。
~文中の写真は関係があるようでありません~
UTO
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